新卒薬剤師の皆様、国家試験の合格、おめでとうございます🌸
薬剤師1年目として、病院や薬局で奮闘されていることと思います。
この記事では、新卒薬剤師が悩みがちなことに焦点を当てます。わたし自身が新人だった頃を思い出して書いてみました。
新人薬剤師の悩み① 投薬こわい!服薬指導に自信がない
慣れるまではいろいろな不安要素がありますよね。
服薬指導の目的は、患者さんに薬を正しく服用してもらうことです。
正しく服用しないと、その薬の本来の力が発揮できないばかりか、健康を害してしまう恐れもあります。
そのためにも、用法用量・服薬時の注意点など、伝えるべきことはたくさんあります。
とはいえ、そのすべてを一方的に話しても、患者さんにはうまく伝わりません。
人によって理解のスピードが違います。時間がなくて、急いでいる患者さんもいます。
患者さんのほうから別の質問をされて、話が切り替わることもあります。
最重要項目から優先順位をつけて、話し始めることが大切です。思いついたことすべてを話せなくても焦る必要はありません。むしろ「あれもこれも」と話してしまうと、一番肝心なことさえ記憶に残りません。
薬剤師歴が5年を超えても、10年を超えても、わからないことはあります。
「それは当たり前」なのです。
医療の世界は、日々進歩しています。新しい薬が誕生したり、ジェネリックが作られたり。薬の適応・用法用量が変更になることもあります。
学生時代に得た知識だけで切り抜けることはできません。
薬剤師は常に勉強し、知識や情報をアップデートし続ける必要があります。
最近では、患者さんの情報源も多岐にわたります。テレビ、ラジオ、雑誌、インターネット。中には誤解を生むような表現が使われていることもあります。患者さんが内容を勘違いしていることもあります。
「昨日ネットで◯◯っていう情報を見たんだけど本当?」と聞かれることがあります。
「自分が知らない=勉強不足」とは限りません。
まずは患者さんの知りたいことを把握します。その上で先輩薬剤師に助けを求めたり、自力で調べて回答したりします。
投薬は慣れです。
あまり気負わず、数をこなしているうちに上手になっていきます。
薬の特徴や副作用など、患者さんとの会話の中で学ぶことも多いです。
という感じで、実践的な知識をつけるのにも役立ちます。
投薬で、患者さんの質問にうまく答えられなかったら、あとから先輩薬剤師に模範回答を聞いてみるのも勉強になります。
新人薬剤師の悩み② 「自分は仕事ができない」と思う
このような悩みを持っていないでしょうか?
わたし自身、最初は本当に仕事ができなくて。薬剤師1年目は何度も、自己嫌悪に陥り、帰り道に涙が出ることもありました。「薬剤師向いてない。辞めたい。」と思ったことも、数え切れないくらいあります。
薬剤師を10年以上やってみて改めて振り返ると、「最初ミスが多いのは当たり前」です。それでも新卒時代は、目の前のことにいっぱいいっぱいで「自分はダメだー!」と落ち込んだものでした。
新人の頃ミスが多くなる理由はいろいろです。
- 知識不足(例:規格違いが存在することを知らない、適応の特例を知らない)
- 経験不足(例:「薬Aと薬Bは取り間違い多発」というよくあるミスのパターンを知らない)
- プレッシャー(例:「間違えたらどうしよう」という不安が必要以上に強い)
- 疲れ(例:社会人になったばかりでペースが掴めない、新しい環境に馴染めない)
などなど。
心身のストレスや疲れは、慣れとともに軽減されることがほとんどです。努力うんぬんではなく、時が経つのを待ちましょう。
知識や経験をつけることは、ミスを減らすことに直結します。
そのためにも、日々目の前のことをコツコツこなしていくことが大切です。ひとつひとつの業務に丁寧に向き合うことが成長につながります。
正確にできるようになって初めて、スピードアップを意識すればいいのです。
「早くて正確」がベストですが、最初のうちは「遅くても正確」を目指すといいです。スピードはあとからついてきます。
薬剤師の業務ミスは、患者さんの健康や命に関わります。重大なミスを起こさないためにも、最初はあせらず、ひとつずつ確実にこなしましょう。
そして、自分以外の同期がすさまじく優秀に見えますが、たいていは「気のせい」です。なんなら、相手も自分のことを「すごいなぁ」と思ってたりします。実は。
仮に知識量に多少の差があったとしても、気にすることはありません。それは学生時代の勉強や実習でついた差ですが、今後の薬剤師人生のほうがはるかに長いです。
これからどういう経験を積んでいくか、その上でどんなキャリアを目指すのかを考えるほうが賢明です。
新人薬剤師の悩み③ 職場で何の業務をやっていいか迷う
という感じで、最初の頃は結構時間を持て余すものです。職場が忙しければ忙しいほど、です。
かといって遊んでいるわけにもいかないので、調剤棚を永遠に眺めたり、PTPの端数を整頓してみたり。でもみんなは忙しくしている。罪悪感。居心地が悪い。
「なにかできることありますか?」と聞くことは、
- 積極性をアピールできる
- 職場の人たちとコミュニケーションをとれる
- 新しい業務を覚えるきっかけになる
など、実はいいことだらけです。
忙しい時間を避けて、ほんの少しの勇気を出して、ぜひ聞いてみてください。
新人薬剤師の悩み④ 薬剤師なのに薬がわからない
薬学部に6年間通い、国家試験前には猛勉強。あれだけ薬のことを勉強しても、いざ現場に出ると知らないことだらけです。
それは、当たり前です。
世の中にはたくさんの薬があります。学生時代に習うのはあくまで基礎知識です。
あとは社会人になってから勉強する必要があります。
学生時代は、成分名(最近はジェネリック名と一致することが多い)で学ぶので、現場に出てから先発の商品名が分からないのは当たり前です。門前の意向や、医療費削減などを理由に、最近では先発品に触れる頻度が減ってきています。採用薬から徐々に覚えていけば問題ありません。
勤務年数の長い事務さんが、採用薬に詳しいのも「あるある」です。人と比べて焦る必要はなく、毎日少しずつ知識を吸収していけば大丈夫です。
新人薬剤師の悩み⑤ なにから勉強したらいいか分からない
新卒時代は、知らないことが多すぎて「あれもこれも」と思ってしまう気持ち、よく分かります。
まずは自分の勤めている病院や薬局の採用薬を中心に勉強しましょう。採用薬から学び始めると、得た知識をすぐに実践で活かせるので
- 反復学習になり知識が定着する
- モチベーション維持につながりやすい
というメリットがあります。
業務中に浮かんだ疑問や、患者さんから聞かれて即答できなかったことなどをメモしておいて、その日のうちに学習するのが効果的です。
勉強の方法は、本、インターネット、アプリなどさまざまです。職場の学習支援制度が整っているなら、それを活用するのもいいでしょう。
新人薬剤師の悩み⑥ 社会人生活に疲れる
これは薬剤師に限った話ではないですが。
社会人になりたての頃は、まず新しい生活リズムに慣れるのが大変です。
慣れない業務ばかりで、日々覚えることがたくさんあります。職場の人間関係にも気を遣うし、なかなか心休まる瞬間がないかもしれません。
スキルアップのためにコツコツ勉強することも大切ですが、オンオフの切り替えをしっかりつけることが、仕事を長続きさせる秘訣です。
薬剤師という仕事は、オンオフのケジメは比較的つけやすい職種だと思います。
平日の夜や休日には、自分の好きなことをして、リフレッシュすることがとても大切です。
「自分がどんなときに落ち込みやすくて、どうすれば回復するのか」という傾向と対策もだんだん分かってくるので、自分のストレスと上手に付き合っていきましょう。
もしすでに転職を考えているのであれば、下の記事がおすすめです。