サンフランシスコの街からわずか2.4キロ離れた場所に浮かぶ小島Alcatraz Island(アルカトラズ島)には、かつて連邦刑務所がありました。
1963年、建物が老朽化してきたことと、管理コストが莫大であることを理由に、刑務所としての役目は終えました。
現在でも建物はそのまま残っており、今ではサンフランシスコ屈指の観光地です。刑務所での囚人たちの生活や、脱獄劇の詳細など、当時の様子を垣間見ることができます。
〈この記事でわかること〉
- アルカトラズ島へのツアー詳細・チケット購入方法・アクセス
- アルカトラズ島の見どころ
- アルカトラズ島を訪れる前に知っておきたいこと
※ツアー代金などの変更点は最新情報に修正済(2023年1月、公式サイト参照)
アルカトラズ観光|ツアーの概要
アルカトラズ島への行き方
アルカトラズ島は、その名の通り【島】なので、フェリーで移動します。
フェリー乗船時刻はチケット購入時に確定します。それに遅れないように集合します。30分前には乗船の受付が始まります。
フェリーの座席指定はありません。船外に出るとサンフランシスコの景色が広がります。左手にゴールデンゲートブリッジを見ながらアルカトラズ島を目指します。フェリーに乗る時間は片道15〜20分ほどです。
アルカトラズ島到着後、スタッフから簡単に話があります。そのあとは自分のペースで自由に観光できます。アルカトラズ島のツアーは自由度が高く、決められているのは往路フェリーの時間のみです。
アルカトラズ島到着後は、刑務所の入場料などの支払いは一切発生しません。刑務所への入場料も、刑務所内で借りられるオーディオガイド(日本語対応)もツアーに含まれています。
このオーディオガイドはかなりクオリティが高く、観光客から大好評です。
多くの美術館で採用されているような、【該当作品の前についたら指定された番号を押して解説を聞く】といったものではありません。
ストーリー調のガイドを聞きながら、それに従って刑務所内を観光します。
「次はここへ移動してください」「右側をご覧ください」といった指示を受けながら、解説が進みます。それぞれの場所が実際どのように使われていたか、刑務所内でどのような問題が起こったかなど、臨場感たっぷりに語られます。
アルカトラズ島ツアーのいいところは
- 多言語に対応していること
- オーディオガイドが優れているところ
- 館内の説明も充実しているところ
です。
自分のペースでまわりつつも、情報をしっかり得られるという点が、観光地として高く評価されています。
ツアーの所要時間は、全部で2〜3時間です。
アルカトラズ島にはレストランなどありません。食事の時間などを考慮して、フェリーの時間を決めるといいと思います。
アルカトラズ島観光のツアーチケットは、事前購入しておきます。人気の時期だと、【数週間先まで空席なし】ということもあるので、早めの予約が吉です。
アルカトラズ島ツアー発着地
アルカトラズ島へのフェリーは、サンフランシスコ市のPier33から出発します。Google Mapsで【Pier33】か【Alcatraz Landing】と検索します。
アルカトラズ島ツアー比較
※最新の料金は公式サイトをご確認ください※
Day tour ※一番人気!
- 所要時間:2.5時間
- ツアー料金:25.80〜42.15ドル(年齢による)
- オーディオガイド付
Night tour
- 所要時間:3時間
- ツアー料金:31.00〜52.70ドル(年齢による)
- 特別ツアーアクティビティ
- ガイド付
Behind the scenes tour
- 所要時間:4.5時間
- ツアー料金:91.00〜97.70ドル(年齢による)
- 特別ツアーアクティビティ
- ガイド付
- 30名以下の小規模ツアー
- Day tourでは入れないエリアの見学
アルカトラズ島フェリー
Pier33より運行中です。時刻表は下のリンクから確認できます。
- 曜日や時期によって異なるので、最新情報はフェリー時刻表を確認
- フェリーの出発はだいたい30分間隔
- 往路は時間が指定されているので、遅れないようにフェリー乗り場へ
- 復路は時間指定がない(アルカトラズ島での滞在時間は決められていない)
- 最終便は混雑しやすい&乗り遅れないように注意
アルカトラズ観光|チケットの予約・購入方法
ここでは、自分でチケットを確保する方法を紹介します。
(手数料はかかりますが)日本の旅行会社などを通して手配する方法もあります。
1. 公式サイトで事前購入する
アルカトラズツアーは大人気です。数週間先まで予約が埋まっていることもあります。早めに予約しておくと安心です。
チケットの印刷は不要で、スマホかタブレットでチケット画面を見せれば問題ありません。スマホの充電切れなどに備えて、印刷したものを持参しても有効です。
2. 現地で早起きして当日チケットをねらう
アルカトラズ島に行くには、事前予約が推奨されていると知りつつも、実際には予約なしで現地に到着しました。バンライフでアメリカを周遊していて、いつサンフランシスコに入れるか検討がつかなかった&インターネット環境がなかったからです。
アルカトラズ島の人気ぶりは理解していたので、半ばあきらめていました。それでもサンフランシスコに到着した日、最後の望みを賭けてPier33にあるチケット売場に向かいました。
スタッフさんにチケットのことを聞くと、
「明日なら当日枠がある。明日の朝早く、ここに戻っておいで。」と。
フタッフさんには朝6時から並ぶことを勧められたので、余裕をもって5時20分から並びました。一番乗りでした。15分ほど経ってから、2組目が列に加わりました。
チケット売場が開く7:30頃には、30人ほどが列をつくっていました。
チケット売場で案内をしていたフタッフさんに聞いた話をまとめると
- 当日枠をねらうなら、朝6時頃には列に並ぶべし
- 人気の時期(夏、アメリカの祝日、年末年始)は、当日枠自体がないこともある
- 逆に混雑しにくい時期(冬の平日など)は、6時半や7時以降に列に並んで購入できる場合もある
- 日によって当日枠の数が違うのと、並んでいる人数=購入枚数とは限らないので、「列の何番目にいれば買える」といった保証はない
- 当日枠で購入できるのは、たいてい朝一番の便(希望の出発時間を選べるわけではない)
アルカトラズ観光|刑務所内の見どころ
監房
さまざまなタイプの部屋があります。どの部屋にあたるかは、犯した罪の重さや、刑務所内での日頃の行いによって決まります。
まったく陽の当たらない部屋もあります。
趣味や息抜きになるものを与えられた囚人もいました。
立ち入り禁止の部屋が多いですが、一部中に入ることができます。監房の中に入るのはとても不思議な気分でした。
厨房
小さなフォークひとつでも凶器になりうるので、紛失しないよう細心の注意が払われていました。
包丁のような刃物は、特に厳重に管理されていました。使用後は、刃物をかたどった収納場所に戻すルールがあり、1本でも欠けていればすぐにわかるよう、工夫されていました。(写真左側)
面会場所
囚人
“Break the rules and you go to prison, break the prison rules and you go to Alcatraz”
アルカトラズ刑務所には凶悪犯が多く収容されていました。また、他の刑務所で問題を起こし、移送されてくる囚人もいました。
刑務所内では、有名な囚人たちが紹介されています。写真の一番左がアルカポネです。
脱獄劇
凶悪犯を多く収容するアルカトラズ刑務所は、脱獄不可能と言われていました。その最大の理由は、アルカトラズ島のまわりの海です。
アルカトラズ島は、サンフランシスコ市内からわずか2.4キロしか離れていません。脱獄を考える囚人なら、泳いで逃げることも検討したでしょう。ところが、このあたりの海水は温度がとても低く、潮の流れも速いのです。「たとえ刑務所の外に出ることができたとしても、無事に海を渡りきることはできない」と断言されていました。
アルカトラズ刑務所からの脱獄を試みた受刑者は36人います。とはいえ、そのほとんどは再逮捕されたり溺死したりで、計画は失敗に終わっています。
しかし、1962年に脱獄したフランク・リー・モリスとアングリン兄弟の3人だけはいまだに見つかっておらず、「脱獄に成功したのでは」と言われています。(実際には4人で脱獄を計画していたが、1人は失敗に終わった。)
囚人たちは、数ヶ月かけて自室の壁にスプーンで穴を掘り、裏通路に抜けるスペースを確保しました。石けんなどを使って、自分たちに見立てた人形を用意しました。脱獄当日は、そのダミー人形が看守の目をあざむき、時間を稼ぐことができました。
刑務所から抜け出したあとは、自作のボートで海を渡ったと言われています。
この脱獄劇をもとに作られた映画が「アルカトラズからの脱出」です。
当時、サンフランシスコ市民は、目と鼻の先にある刑務所で脱獄があったと知り、恐怖におびえたとのことです。警察も必死に捜索をしましたが、結局3人は見つかりませんでした。20年近い捜索の結果、「3人は溺死した」と結論づけられました。
ところが、2013年サンフランシスコ警察に、脱獄した囚人のひとり、John(アングリン兄弟の兄)を名乗る人物から手紙が届きます。
手紙には、以下の内容が綴られていました。
- 当時、3人とも脱獄に成功した(=溺死していない)
- 自分以外のふたりはもう亡くなっている
- 自分はガンを患っていて、治療を受けさせてほしい
- 治療が受けられるなら、刑務所に1年間戻ってもいい
この手紙が本物なら、アルカトラズ刑務所からの大脱獄は成功だったということです。しかし、手紙を出した人物がJohn本人という証拠はなく、この事件はいまだに未解決のままです。
看守
アルカトラズ刑務所の監房の上にGun Galleryというエリアがあります。武器をもった看守は、ここから囚人たちの様子を見張っていました。
当時の看守の部屋も残っています。
つい囚人や脱獄劇に注目が集まりがちなアルカトラズ刑務所ですが、当時の看守の生活についても知ることができます。看守の部屋や、当時の服装(制服)も展示されています。
刑務所から一歩外に出ると、アルカトラズ島からの景色はびっくりするくらい平和なものです。花のある島の雰囲気はとても穏やかです。かつて凶悪犯たちが集められていた場所だとは、なかなか想像しにくいものです。
看守の多くは、意外にも、家族ごとアルカトラズ島に住んでいたそうです。常に緊張感のある仕事をしていた看守にも、心休まる時間があったのだろうかと、考えてしまいます。
ギフトショップ
刑務所観光の最後には、ギフトショップがあります。
刑務所内で実際に使われていたのと同じデザインの食器など、アルカトラズ島ならではのグッズが売れ筋です。キーホルダーやポストカードも人気です。
わたしがギフトショップを訪れたときには、アルカトラズ刑務所で、当時囚人として暮らしていたという男性本人がいました。自身の著書を売りながら、当時の様子を話したり、観光客からの質問に答えたりしていました。
【参考】筆者が現地を訪れた時期と滞在時間
- 滞在時期:2018年10月上旬
- 滞在時間:刑務所内の観光は2時間ほど
- 当記事の情報は、基本的に滞在時点のものです。後日変更に気がついた場合は、都度修正していますが、最新情報は公式サイトなどをご確認ください。